強迫性障害とは

強迫性障害は不安障害の一種です。これは無意味な行為であるという自覚がありながらも、頭の中で不合理な考えが繰り返し浮かぶようになって(強迫観念)、それによる不安を打ち消そうと無意味な行動をぐるぐるとやり続けている状態を言い(強迫行為)、それが日常生活にも支障をきたしていると強迫性障害と診断されます。

よくみられる行動をいくつか挙げると、出かける際に玄関の鍵やガスの元栓を閉め忘れたのではないかと不安になって家に戻っては何度も確認し(確認行為)、そのうち外出自体を避けるようになるといったことをはじめ、手が汚れているという思い込みから何度も繰り返し手を洗い、手の皮が剥けていても続けている(不潔恐怖)、誰かに危害を加えたと心配になり、通って来た道を戻って確認する(加害恐怖)、自分が決めた回数や手順通りに物事が進まないと不安になるので、そのルーティンに沿う(儀式行為)といったものがあります。これら強迫症状は、うつ病、統合失調症など他の疾患でみられる症状でもあります。

発症要因は不明とされていますが、セロトニン(脳内にある神経伝達物質)の関与が最近になって指摘されています。日本では成人の50人に1人の割合でいるとされ、発症年齢自体は早く、その大半は20歳前後と言われています。

適応となっている抗うつ薬による薬物療法、暴露反応妨害法(認知行動療法の1つ)による治療が重要となります。抗不安薬による対症療法も即効性があり、急性期には重要となりますが、依存性の問題からも短期間の使用が望ましいです。