認知症とは

これまで正常に機能していた脳が病気(アルツハイマーなどの神経変性疾患)や障害(脳血管障害)などをきっかけに認知機能が低下、それによって記憶や思考にも影響が及ぶようになって、やがて記憶力、判断力、認識する能力(時間、場所、人 等)などが低下、それによって日常生活に支障をきたしている状態を認知症と言います。認知症の患者様では、以下のような症状がよく見受けられます。

  • 人や物の名前が思い出せない
  • 場所や時聞がわからなくなる
  • 趣味に対する興味や関心が薄れている
  • 判断や理解力が低下している
  • 何度も同じことを話す、あるいは聞くなどする
  • 不安感が強い など

なお認知症は、高齢者によくみられる物忘れ(良性健忘:加齢による年相応の記憶障害)と症状が似ていることから見分けがつきにくいとも言われますが、物忘れの場合は体験したことの一部を忘れているといった状態(朝ごはんを食べたことは覚えていても食べた料理を忘れている)で、本人にも忘れているという自覚があります。一方、認知症の患者様では、体験したこと全てを忘れている状態(朝ごはんを食べたことも忘れている)で、忘れているという自覚もありません。

診察時に認知症が疑われる場合、認知機能を調べる心理検査、血液検査、頭部CTや頭部MRIなどの画像検査をするなどして診断をつけます。その結果、認知症と診断されたとしても早期に発見することができれば、完治は困難であっても、その進行を遅らせることはできます。そのため早期から治療が重要です。

認知症の種類について

認知症の原因はひとつではなく、様々なタイプがありますが、全認知症患者様の9割近くが4つの種類のタイプ(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症)に属することから、これを四大認知症と言います。ちなみにその中の6割近くはアルツハイマー型認知症の患者様です。次に多いのが脳血管型認知症の患者様で、これは全体の2割程度になります。それぞれ4つの認知症の特徴は次の通りです。

アルツハイマー型認知症
特殊なたんぱく質(アミロイドβ など)が脳内に蓄積していくことで、脳の神経細胞が破壊されて減少するようになります。これによって、記憶や認知機能がゆっくりと障害を受けるようになります。
脳血管型認知症
脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血 など)の発症によって、脳血管が詰まる、あるいは破れるなどして、脳細胞に十分な酸素が行き届かなくなって、脳の神経細胞が減少し、それによって認知症の症状が出ている状態になります。
レビー小体型認知症
脳幹(物事を考える器官)にレビー小体(神経細胞にできる特殊なたんぱく質)が集まることで、脳の神経細胞が破壊されて減少するようになって、認知症を発症するタイプです。認知症以外にもパーキンソン症候群の症状が現れるのも特徴です。
前頭側頭型認知症
前頭葉や側頭葉が萎縮することで発症する認知症です。原因についてはわかっていません。40~60歳代の方によく見受けられます。発症初期では性格変化や異常行動が現れ、そのうち相手の言葉の意味が理解できなくなるといった症状もみられます。
この病気にはピック病も含まれます。

アルツハイマー型および、レビー小体型認知症については、適応となっている治療薬があり、
認知機能障害の進行抑制や意欲改善効果も認めるため、病状早期の介入が望ましいです。
物忘れに関し、ご不安が強いようでしたらぜひご相談ください。
横浜市もの忘れ検診も当院にて実施可能です。
(認知症の治療を受けていない方で、横浜市在住、65歳以上であれば無料で健診が受けられます)お電話にてご相談ください。
また認知症に伴う、意欲低下、不眠や怒りっぽさなどにつきましては対症療法とはなりますが、ご本人とご家族の良い関係を維持するために当院にてサポートをさせていただきます。